お米とお水
人間の体内の水分は、排泄・消費する分を外から補い、人は命を成長・維持させます。
稲穂は充分な水分を吸い上げ、美味しいお米を育て、最後のクライマックスでは、お米は充分な水分を再び溜め込み、美味しいご飯に調理されます。人はそのみずみずしいご飯を、水分としても取り込み、糧とします。
人間にもお米にも大切なお水。人間には健康、お米には味に大きな影響があるのは同じなのです。世間に膨大な種類の水が販売され、健康面・経済面・物理的側面など多くの制約条件のある中で、より日本のお米に合うのはどんなお水なのでしょうか?
お米はお水と熱だけでごはんに変身します。だからお水はとても重要です。日本ではほとんどの水源は軟水を育んでいます。その軟水に育てられたお米は、おのずと軟水との相性はよいのです。
ただ、カルキ臭だったり、プラスチックの匂いだったりのお水はごはんの香りを損ない、味に影響します。
ヨーロッパ産などの硬度の高いお水は、それだけミネラル分(カルシウム等)が多く含まれます。高いお水だからと言ってそういうお水でお米を炊くと、ごはんがパサパサになりますので要注意です。
また、経済的にもミネラルウォーターで炊くよりも、日本の水道水に浄水器を通した程度のお水で炊く方が現実的で、大きくお米の味を損なう事もないでしょう。
お水にこだわり、お米の味を如実に確認したければ飲料用蒸留水をお勧め致します。また、弱アルカリ性のお水の方が、酸性食品である玄米・白米を炊くには健康的にも良いかと思います。
その場合、アルカリ度の高いお水(ph9以上)を使うと、ご飯が柔らかくなり、黄ばむ事がありますのでご留意下さい。
古米を完璧なお水で炊いても新米の味にはなりません。
お水の役割はお米の味を際立たせたり、クリアーに伝えたりとても繊細です。
各ご家庭の限られた状況の中で少しずつの気遣いをして行けば、ご家庭のお米の味、愛情の味になって行くのだと思います。